リスニング学習は、リピートとセットで
記憶の仕組みを踏まえて、効果的な学習法を作りましょう。
(旧BBSでの satcha さんとのやり取りから発展した内容です。)
「英語のシャワー」は誤解に基づく“神話”
映画や海外ドラマを使って英語学習をしている方から、「なかなかセリフを覚えられない」という声をよく聞きます。
詳しくお聞きすると、まるで「英語のシャワーを浴びる」かのように、「わからなくとも、とにかく聞く」という方が多いです。
「英語のシャワー」という言葉は、もともと、ある英語教材の昔のキャッチフレーズのようです。その教材は、実際には、英語を学ぶための工夫がたくさん盛り込まれているものです。決して、「ただ聞いていれば英語が身に付く」というような考えで作られたものではありません。
このように、「英語のシャワー」、つまり、「英語を流して聞いていれば、聞き取れるようになる/英会話が身に付く」というのは、誤解に基づく現代の神話、都市伝説の類だと思います。
というわけで、やはり、英語上達のためには「英語のシャワー」のような運まかせの方法でなく、こちらから積極的に、方法を工夫していく必要があります。それは、どんなものになるのでしょう?
このサイトらしく、映画・海外ドラマで英会話を身に付けようとしている場面に限定して考えて見ましょう。
「英語のシャワー」に代わる英会話上達法
映画等を見る時、セリフとセリフの間隔は、一定ではありません。たとえば、以下のようになります。
セリフ1 ↓ (間隔5秒) セリフ2 ↓ (間隔2秒) セリフ3 ↓ (間隔0秒) セリフ4
この場合、セリフ1は記憶に残る可能性が多々ありますが、セリフ2 が記憶に残る可能性は、あまりありません。その差はどこから来ると思いますか?
そうです。それは、セリフ1のあとは空白が5秒あるのに、セリフ2のあとには2秒しかないということです。次のセリフまでの間が短いと、英語学習者としてはかなり苦しいという実感がありますよね?
脳が英文を処理できるポーズ(一時停止)を入れる
そのことを、もっと細かく考えてみましょう。
とするならば、以下のように、1つの英文を、時間をかけて処理しているものと仮定できます。
英語学習者の脳が、リスニングした英文セリフを処理する流れ セリフを聞く=音として、「認識」する ↓ 頭の中で無意識にリピート(1回目) ↓ 「意味の理解」は、この辺り 頭の中で無意識にリピート(2回目) ↓ 頭の中で無意識にリピート(3回目) 「記憶の開始」は、これ以降 ※このモデルは科学的なものではありません。
英文の難しさにもよりますが、3回もリピート(そしゃく、たしかめ)が必要ならば、そのプロセスには、母国語の日本語とくらべて長い(秒単位の)時間がかかります。
その大事なリピートをしている最中に、次のセリフが聞こえてきたら、どうなるか?
次のセリフが短期記憶スペースを独占するので、前のセリフは追い出されてしまいます(!)
というわけで、次のセリフまで2秒しかないセリフ2の場合は「記憶の開始」に至る前に頭から追い出されます。次のセリフまで0秒のセリフ3などは、「意味の理解」の段階にさえ到達できないかもしれません。
したがって、「英会話に使える英文をおぼえる」という、このリスニング学習の大きな目的を達成するためには、
ことが、当然、必要だということになります。私の経験上(指導の経験も含む)、一時停止している間、意識的に「口の中でリピートする」と、さらに効果があがりやすいです。セリフ1の時の有利な状況を、意図的に拡大して再現するわけです。
もっと追及して、そのセリフが「口になじんでくる」ぐらいまでやれば、記憶に残る可能性は飛躍的に高まります。ぜひ、お試しください。海外生活をしても英語がうまくならない
以上のことから、「海外生活をしても、必ずしも英語がうまくならない」不思議も、あまり不思議ではなくなってきますよね?
だって、人と話している時には、こちらも次に話すことを考えなければいけませんから、DVDを流して見ている(英語のシャワー)より、さらに「英文の記憶に不利」な状況になっていますよね。
最も実践的なはずの海外でのナマの英会話が「勉強に適さない」というのは皮肉です。しかし、(とくに会話初心者の)記憶の素材としては、 ポーズ、ストップ & 巻き戻し ができるDVD等のほうが圧倒的に有利というほかないでしょう。
では、結論です。
- リピートするのが効果的。
- リピートするための時間(空白)を確保する。