発音レッスン実況中継(2)
YouTubeの人気動画「なかよしラッコ」で英語のリズムをマスター
バンクーバー水族館に「なかよしラッコ」を見に来た母子の会話を題材に、英語の「緩急リズム」をつかみます!
まずは、YouTubeで500万ヒットを記録している映像をお楽しみください!
「キューート!」、「アドーラブル!」などの歓声が聞き取れましたか?(^−^)
cute は日本語の「かわいい」とほぼ同じ。女の子・子供・動物…何でも、「かわいい」ものに使えます。adorable は、典型的には赤ちゃんや幼児のかわいらさしさのイメージ。「まあ、あいらしい! かわいらし〜い」という感じで、女性がよく使います。日本語の「あいらしい」には、「らしい」というところに、やや大人の視点が入っていますね。adorableもそれと似ています。cuteのほうは、性別・年齢かんけいなく、誰が使っても大丈夫ですよ(^−^)。
さて!きょうの聞き取り個所は、0分25秒〜30秒 の母子の会話。
では、課題を出します。
ビデオの操作は大丈夫ですか? 画面左下にあるのが「再生/一時停止」ボタンです。
1. 0分25秒〜30秒 の母子の会話を書き取ってください。
カッコ内の単語は、1つとは限りません。
子供: () let go.「○○だね!」 ママ: (
) ?「なあに?」 子供: (
) let go.「あのこたち、○○だね!」 ママ:(
) .「そうね(^−^)」
let go は、「手を離す」という意味です。
何度聞いてもOKです。
※ 書き取ってから、下のほうにお進みください。
どうでしたか? 前回よりも簡単でした? 難しかった? このレッスンで聞き取れるようになりましょう!(^−^)
2. 答え合わせをしましょう。
子供:( They don't wanna ) let go.「手を離したくないんだね!」 ママ:( What ) ? 「なあに?」 子供:( They don't wanna ) let go.「あのこたち、手を離したくないんだね!」 ママ:( No ) . 「そうね(^−^)。」
お母さんの言葉は、とても「まのび」していて、まさか "What?" や "No." だっ たとは…という人もいるかもしれませんね(^−^)。
こんなに遅いのは、「子供相手だから」ということも少しはありますが、英語の 「話すスピードの緩急」(緩急リズム)からくる必然的なこと。誰を相手に話し ても、これに近い「遅さ」になりますよ。
ちなみに、お母さんの最初の言葉をフルセンテンスで言い換えると、
What? → What did you say?「何て言ったの?」
となりますが、どちらの言い方でも、言うのにかかる時間はほぼ同じです。
What? → What did you say?「何て言ったの?」 0.9秒 やはり 0.9秒前後になります
(えっ!)
不思議でしょう? 英語では、
という重要な話し方(リズム)のルールがあるんです。
お母さんは "What?" と言うのに 0.9秒かけていて大変「まのび」して聞こえますが、これは「1語だけのセンテンスだから長い」のです。かりに、"What did you say?" と言うとしたら? …やはり 0.9秒前後しかかけない(!)ので、われわれには「大変速く」聞こえることになります。
日本語とはずいぶん違いますね? 日本語の話し方の習慣では、1音節を言うのにかける時間は、いつもほぼ均等。だから、それとは異質な、「緩急自在」の英語が聞き取りにくいんです。
たとえば、He's great.(2音節)なら聞き取れても、He looks great.(3音節だが、発音時間は前の文とほぼ同じ)が聞き取れない。I have to.(3音節)なら聞き取れても、I'm going to have to.(5音節。発音時間はほぼ同じ)は聞き取れない…。そんな経験、ありませんか?(^−^)
もう1つのお母さんのセリフ "No." についても、同じことが言えますよ。
No. → No, they aren't.「そうね。」 0.8秒 やはり 0.8秒前後になる 1音節 3音節
この英文の緩急(リズム)の法則、
この法則は、リズムの練習(「弱く・速く」言っている個所を「弱く・速く」再現する)をしていく際に、とても役立つ“補助輪”になります。今日はこの法則にのっとって練習していきます。
3. もう一度聞いてみましょう。
子供:( They don't wanna ) let go. ママ:( What ) ? 子供:( They don't wanna ) let go. ママ:( No ) .
お母さんの言葉の聞き取りは、もう大丈夫? 今日は、子供のセリフが聞き取れ るようになるよう、「再現/リスニング」の練習をしていきます。
カッコ内の部分は非常に「早口」です。最初の子供のセリフの時間を計った所、 前半と後半にかける時間は、それぞれ、次のようになっています。
00:25〜00:26 ( They don't wanna ) let go. 0.5秒 0.9秒
うん、前半のほうが時間が短いですね。一方、音節数で比較すると逆転します。
00:25〜00:26 ( They don't wanna ) let go. 4音節 2音節
このように、音節数では2倍ある前半部分を、時間は約2分の1しかかけずに素早く言っています。ということは、1音節にかける時間は、なんと、1:4の比率!
00:25〜00:26 ( They don't wanna ) let go. 0.12秒/音節 0.45秒/音節
こんなに「激しい緩急(速い・遅いの差)」をつけられては、日本語の「平等なリズム」が体にしみついている我々には、聞き取れないはずですね!
さて、もう、どうすればいいか見当がつかれたのでは?(^−^)
そうです! センテンスの一部分だけを「速く」言う、英語の「緩急リズム」の習慣を、我々がつければいいのです。
今日は、そのやり方を説明しますので、一緒にやってみましょう。
そうです! こちらも、センテンスの一部分だけを「速く」&「弱く」言う習慣をつければいいのです。これは、英語のリスニングの最大の急所です。これを押さえるだけで、今まで聞き取れなかった英語の半分〜8割が聞き取れるようになります。(ただし、STEP 1・2の「英文をつっかえずに読む」訓練が出来ていることが前提です。)
今日は、そのやり方を説明しますので、一緒にやってみましょう。
4. They の th の音
今日のお題は、次の1文。子供の最初のセリフです。
00:25〜00:26 ( They don't wanna ) let go.
その前に、They の発音。
They の th の「発音」、気になりますか?
th の「発音」が苦手な人。音は“テキトー”でいいです。[ゼイ]、[デイ]、 [ネイ]、あるいは「聞こえたとおりの音」でかまいません。
…ところで、この子供の They の th の音、聞こえますか? おそらく、「聞こ えない」と思います。聞こえたとしても、「なんだか、はっきりしない音だな あ」という印象ではないでしょうか。
はい、それが正解です!(^−^)
[ゼイ]、[デイ]、[ネイ]…なんでもいいのですが、1つだけ確かなのは、それが 「なんだかはっきりしない音」だということです。
けっして、[ゼ!イ]、[デ!イ]、[ネ!イ]…というような「はっきり・くっき り」した輪かくを持つ音ではありません。
これには違和感を持つ人が多いと思いでしょうね。th というのは、上の歯の裏 と、舌を接触させ、その接触面の間を息が通り過ぎる音です。…ややこしいです ね?(^−^)
発音やリスニング教材に出てくる th の音は、この特徴をきわだたせようとし て、この「歯の裏と舌の接触面を通り過ぎる息」を非常に強くしています。その 結果、息が通り過ぎる際に、舌が「ぱちっ」と音を立てて離れるため、まるで 「破裂音」(t, d, p, b など)のような、輪郭が「ぱちっ」とはっきりした音 になっています。(ミスリーディングなお手本です。)
しかしこのような、発音やリスニング教材の th の音、これはある種の「モデ ル」にすぎません。理想型と言うか、実際にはあまり聞かれない音です。私も、 そのように「強い破裂音」のように明確に発音される th を会話の中で聞いたこ とは、ほとんどありません。
一方、“実在の” th(有声音の th)は、the や they など「ほぼ常に弱く発音 される単語」でしか使われます。そのときの th は、「ぱちっ」という「破裂す るような音」が一切なくなります。そのかわりに「上の歯から舌が、ねとーっと (または、さりげなく)離れる」時の不明確な音になります。
少し実験してみましょう。
ためしに、「息を吸い込む」、あるいは、「息を外に出さない」意識で、[ゼ イ]、[デイ]、[ネイ](どれでもいいです)と言ってみてください。
「なんだかはっきりしない音」になっていませんか? できれば誰かに聞いても らって、その人が [ゼイ]、[デイ]、[ネイ] とは聞き取れないぐらいに息をおさ えて…(ただし、声帯=母音的な部分=はじゅうぶんに響かせてね!)
[エイ] と聞き取られてしまった方、いいセン行っていますよ。ネイティブス ピーカーでさえ、そのように発音するときがあります。
They の th は、結論を言うと、何と発音しても通じます。
この th は極端な例でしたが、一般に、英語が通じる/聞き取れるためには、発音(個別の「音」が正確なこと)は大きな要素ではありません。それよりも、強弱の「リズム」、緩急の「リズム」が大切です。
- 通じる/聞き取れるための重要度
- 強弱や緩急の「リズム」8:個別の音の「発音」2
テレビで「アグリー・ベティ」をご覧になっている方は、サルマ・ハエック演じるソフィアの英語をご存知でしょう。母国語を引きずった「スペイン語なまりの英語」なのですが、なまっているのは「音」だけ。「リズム」は完全にナチュラルな英語のものであるために、非常によく「通じる英語」になっています。
「ベティ」を見てない方には…スペイン出身の俳優、アントニオ・バンデラスの英語も同じです。スペイン語には、たとえば母音が5つしかない(日本語と同じですね!)ので、英語の母音をマスターするのは、彼らにとっても難しいのです。しかし、彼らの英語は、「音」は少々おかしくても、「リズム」をしっかりおさえているので、100パーセント通じさせることができるし、ネイティブスピーカーの英語もらくに聞き取れているはずです。
ところで、彼らの英語は、「エキゾチックななまりのある英語」と評され、セクシーな魅力を形づくる要素の1つになっています。我々も、英語の「リズム」をしっかりおさえてセクシーな英語を話しましょう!(^−^)
5. ワン・ツー・スリーのリズムで(3音節)
they の発音で時間を食ってしまいました。結論は、「何と発音しても通じるか ら、テキトーにあいまいな音を出しておけばいい」のでしたね(^−^)。
元に戻りましょう。きょう聞き取れるようになりたいセリフは、
00:25〜00:26 ( They don't wanna ) let go.
カッコの部分が「速すぎて聞き取れない」ので、それを聞き取れるようにトレーニングするのでした。
課題文を少し短くします。
They let go.
と、「普通に」言ってみてください。
[ゼイ・レッt・ゴー] …
「ワン・ツー・スリー」のリズムで、均等にアクセントを置いて、で結構です。
They let go. 0.5秒 0.5秒 0.5秒
うん、これは、簡単ですね!(^−^) 「均等にアクセントを置く」のは、日本語と同じですから。次は、少し難しくなります。
6. タタ・タッ・ターのリズム
これは、いきなりやるのは難しいので、ワンクッション置きます。
ワン・ツー・スリー タタ・タッ・ター
「タタ・タッ・ター」を「ワン・ツー・スリー」のリズムで言ってください。
最初の「タタ」が速いんですよ。「タタ」で1拍。あとの「タッ」が1拍、「ター」も1拍。
続けて言ってみましょう。
ワン・ツー・スリー、(休み)、ワン・ツー・スリー、(休み)… タタ・タッ・ター、(休み)、タタ・タッ・ター、(休み)…
「休み」の1拍も含めて4拍子です。何の意識もせず、楽に出来るようになるまで、繰り返してください。
7. タタ・タッ・ターのリズムで(4音節)
次に、「タタ・タッ・ター」を They don't let go. に置き換えます。
タ タ ・タッ・ター They don't let go.
「タタ」の部分が They don't になるんですよ。
分かりにくいかな?
タ タ ・ タッ ・ター [ゼイドn・レッt・ゴー]
[ゼイドn] だけが速いんですよ。これで1拍。あとの2語(let と go)は、1 語で1拍ずつ。
ここで、they の th や、don't の d の発音が明確すぎると、スピードについていけないかもしれません。don't の d についても、先ほどの th の説明にあったように、「息を吸い込む(息を外にもらさない)」要領であいまいに発音してください。(d で大きくぱちっと「破裂」させない)。
タ タ ・ タッ ・ター [ゼイドn・レッt・ゴー]
出来ましたか?
これは、時間配分で言うと、
They-don't let go. 0.5秒 0.5秒 0.5秒
このようになったわけです。だんだんお手本に近づいてきましたね!(^−^)
8. 6音節に挑戦!
もう、先のやり方がお分かりになったと思いますが、要は
They-don't let go. 0.5秒 0.5秒 0.5秒
の They-don't の所に、もう1単語、押し込めていくわけです。
They-don't-wanna let go. 0.5秒 0.5秒 0.5秒
これは手ごわいですよ。wanna は2音節ですから、今までの They-don't(2音 節)に加えて4音節、いきなり倍増です。
9. タラララ・タッ・ター
They don't wanna let go. は、「タラララ・タッ・ター」のリズムです。 「タラララ」は4連符。1拍の中に4つの音があります。つまり、
タラララ・タッ・ター ワン ・ツー・スリー
というふうに、「タラララ」4音が「ワン」1音に対応します。
これを先ほどと同じように、口になじむまで繰り返します。
ワン・ツー・スリー、(休み)、ワン・ツー・スリー、(休み)… タラララ・タッ・ター、(休み)、タラララ・タッ・ター、(休み)…
これは少し難しいかな?
速すぎると、うまく行きません。1拍が0.5秒ですから、けっこうゆっくりしたテンポですよ。「ワン・ツー・スリー」で確かめてみてください。
遅いでしょう?(^−^)
では、もう一度、「タラララ・タッ・ター」で。
この部分は、今日のレッスンの難所です。「タラララ・タッ・ター」のリズムを完全に自分のものにするまで、何日でも続けてくださいね。うまく行かなければ、数日ほうっておくと、すっと出来たりしますよ(^−^)。とにかく、あきらめないで。
10. 「タラララ・タッ・ター」を英文に!
最後に、「タラララ・タッ・ター」を、課題文に置き換えます。
タ ラ ララ ・タッ・ター They-don't-wanna let go.
これは簡単ですよ(^−^)。上の10.が出来ていれば、すぐに出来ます。
そして、ここまで出来たら、お手本の子供と同じリズムになっていますから、も う聞き取れるようになっています。おめでとうございます!
今日は10.がとくに難しかったですね。 よくあきらめずに、がんばりましたね!(^−^)
ふー! おつかれさまでした!!
今日のトレーニングはいかがでしたか?
リスニングは、たくさんのお手本を使用して「ドリル」をやっても決して上達し ません。「1つの英文が聞き取れるまで/再現できるまで、しつこくやる」のが 最大のポイントです。
「1つの英文とじっくり向き合う」----これは、リスニングだけでなく英語習得 のカギになる考え方です。達人たちは皆、口をそろえて言っています。
ぜひ参考にしてください。
ラッコちゃんについて
きょう登場した「ラッコちゃん」は、白っぽいほうが女の子(Nyac)、黒っぽいほうが男の子(Milo)です。映像の最後のほうで、2人が手を離したさいに、"He's too sleepy."(おねむさんね)と言う声が聞こえますが、"He" じゃなくて、"She" なんですよね(^−^)。
2頭の現在の様子は、バンクーバー水族館のウェブサイトで、ライブ中継で見る ことができます。屋外映像なので、向こうの昼間(こちらの夜間)にアクセスし てみてね。
なお、YouTube のサイトでは "otters" (カワウソ)となっていましたが、 "sea otters"(ラッコ)のことです。